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物流達人

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多摩大学大学院 客員助教授
浜崎章洋

第1回目のコラム 2006.05.08

物流人財を目指して | 浜崎 章洋

本稿を読まれている方は、何らかの形で『物流』に携わっていると思います。突然ではありますが、みなさんに質問が二つあります。

  • (1)仕事は楽しいですか?
  • (2)物流を仕事に選んだ理由は何ですか?

質問(1)で「楽しくない」と答えられた方、楽しくない理由はなんですか?「仕事がキツイ」、「頑張っても認められない」などが思いつくのですが、如何でしょうか?質問(2)には、「自ら希望して物流の仕事を選んだ」、「就職先・配属先がたまたま物流会社・物流部門だった」、「第一志望の仕事に就けず不本意ながら物流をやっている」などでしょうか。

筆者が物流の仕事をしているのは単なる偶然です。それが、いまではすっかり物流の面白さに魅了され、日々楽しい仕事をさせていただいております。物流という仕事に出会えたことを感謝しています。

さて、改めて「物流の仕事」について考えてみたいと思います。日々の現場作業と運営管理、作業品質や生産性の維持向上のための改善活動、各種物流提案の企画と実施などがあげられます。これらの全ての物流の仕事の成果は、人に依存している部分が大きいのです。よって、優秀な人材が『物流の財産』であることは疑いの余地はありません。

これまで、物流業界では、長時間労働をいとわない社員やトラブルが発生した時になんとか対処する人を「仕事ができる」と評価する傾向が強いように感じます。業務特性上、これらが必要な要素であることは否めません。しかし、本当にそれだけで良いのでしょうか? 経営環境が激しく変化する状況のもと、物流に対する期待は大きくなっています。

筆者は、物流の専門的な知識を有し、物流業務の効率化を図る、あるいは新規顧客の開拓や新サービスの開発など、会社の発展に寄与する物流のプロを『物流人財』と名付けました。そして、物流人財になることで、物流の仕事が楽しくなると確信しています。

物流人財に必要な能力、知識や経験について、約一年間、研究仲間と議論しました。その結果、表-1にある6つの視点で捉えられるのではないかという結論に達しました。

表−1 「物流人財に求められる能力要件

要素 内容
企画立案能力 自社あるいは顧客の問題を発見し、その解決方法の仮説立案ができると同時に、企画を実行するべく相手を説得するプレゼンテーションのノウハウと交渉をする能力。
リーダーシップ 労働集約型の物流現場において、現場の生産性を高めるためには、自部門のメンバーに必要な知識を与えるとともに積極的な気持ちを持つための仕組みを提供する必要性がある。また、業務の進捗管理をしつつ、メンバー間の情報の流れを良くするとともに、市場環境の変化に対応できる能力。
業務改善・遂行能力 納期や品質、コストのレベルを保ちながら、改善活動を通じて業務の遂行および改善力を進める能力。
専門知識(物流) 物流には、輸送・保管・荷役・包装・流通加工といった領域があり、それぞれの専門的な知識が必要とされる。これは、業務改善や遂行するだけではなく、企画提案する際にも、必要な知識といえる。
分析・評価能力 物流はサービスレベルを強化し、コストを削減するという二律背反する使命を追っているが、これを可能にするために必要とされる、サービスやレベルを定量的(数字)でとらえ、その改善分析・評価する能力。
ネットワーク力 物流は領域の広いため、全ての分野に精通するのは難しいが、必要な知識を得られる相談相手(ネットワーク)など人脈を構築しているか。

これら6つの能力を全てお持ちの方は、物流業界では稀な存在です。ベテランと言われている方々でも、2つ、多くて3つくらいでしょうか?読者の皆様には、ぜひ、これら6つの能力を兼ね備えた物流人財を目指していただきたいと思います。

ただし、現場や実務の経験だけでは成長に限界があります。物流現場や物流システムは多種多様で、経験できることは限られており、そこから習得できる知識や経験だけでは、能力向上は、やがて行き詰ってしまいます。

ありがたいことに、最近は物流に関する書籍や研修セミナーが豊富にあります。さまざまな情報もインターネットを通じて、簡単に入手できるようにもなっています。昔と比べて、恵まれた環境になったので、積極的に勉強されることをお勧めします。

物流の仕事は、荷主や上司の指示に従うだけというように、受身になりがちです。冒頭で、物流の仕事は楽しいかと質問をいたしましたが、楽しくないと感じている方は、もしかすると、「仕事をやらされている」という意識があるのではないでしょうか。

完璧な物流現場、完全な物流システムなど、絶対にありません。日々の業務のなかで、改善すべき点、提案すべき点は多数あると思います。このような物流の仕事について、自ら主体性を持って仕事に取り組むことで、仕事にやりがいが出てくるように思います。そして、やりがいがでてくることにより、仕事が楽しくなり、さらに改善や提案のアイディアが出てきて、自主的に仕事に取り組めるという好循環になると思われます。

本稿をお読みいただいている皆様が、『物流人財』として活躍されることを祈念いたします。

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