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物流達人

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株式会社イー・ロジット 代表取締役社長
角井亮一
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第2回目のコラム 2006.06.19

物流システム導入の失敗回避法 | 角井 亮一

最近の話ですが、ある物流センターで10億円超も掛けて投資した物流システムがまったく稼動せず、たくさんの現場スタッフが手作業に追われているのを見る機会がありました。搬送コンベアや自動ソーターは止まった状態で、作業導線は入り乱れ、スタッフの顔には疲労感が漂っていました。センター長に「システムの故障か何かなのでしょうか?」と聞いてみると違うらしく、システム自身は稼動するのですが、現場スタッフがシステムを受け入れず、稼動していないとのことでした。
このようなまったく稼動しないケースも含め、期待通りに稼動しない、使い物にならないなど、物流システムの失敗事例は実は以外に多いものです。我々は仕事柄こうした現場を拝見する機会もあるのですが、失敗事例の多くは公表されることはなく、また、失敗した原因や発生源を 明確に説明するのが難しいという性質もあり、お目にかかることは少ないのでは無いでしょうか。

本稿では、物流システム導入を失敗しないために、システム企画をどうすれば良いかを考え、物流システムを導入する方の参考にしたいと思います。

==物流システムの失敗内容==
今までに見たり聞いたりした物流システム導入の失敗内容を集めてみました。

  • a. 出荷作業に時間が掛かりすぎる
  • b. 機器のレスポンスが悪く使えない
  • c. 現場と事務所の業務連携がスムーズに行かず、手待ち時間が出来る
  • d. ピーク時を考慮した設計になっておらず、業務が滞る
  • e. 物量の波動にフレキシブルに対応できない
  • f. 要件をまとめるのに時間が掛かり、予算の数倍の費用が掛かってしまった

この他にも、集めると結構色々出てきます。読者の皆様も思い当たる内容があるのではないでしょうか。

aやb、cは期待したシステムの効果が現れなかったということで、dやeは自社の実情に合わないということになります。またfは、要件をまとめられるスキルや現場をよりよくするための経験がないために起こることです。
すべて、システム企画を行う上で、自社の現状を調査・分析して、システム化によって実現すべき機能を具体的に設定していく過程に問題があったのだと思います。システム開発を3つのフェーズで(1)要件定義、(2)業務仕様設計、(3)システム開発と分けると、(1)と(2)の部分で企画した内容が不十分であったと考えられます。

(1)要件定義は業務運用の条件設定が不十分、利用部門が参画しない、課題解決を先送りにするなど、システム企画に必要な条件を十分に議論せず、次のフェーズに移ることで問題が生じます。
机上案を実業務に落とし込むために、現場スタッフへの十分なヒアリングも通じて、商品の形状・寸法・重量等の“物”の条件、通路や作業場などのスペースや作業性が影響する作業の“流”の条件、ピーク時に発生する商品の“量”の条件も考慮した企画が必要になります。

(2)業務仕様設計では、仕様がいつまでたっても決まらないとか、現行業務分析の不備が発覚し、システム設計に進めないなど、課題未解決のまま開発フェーズに移行してしまうという問題があります。繰り返し全体の流れを確認し、物流現場設計の基本的な考え方である、「考えない」「探さない」「迷わない」、「整理」「整頓」など基本事項の確認と、商品に触れる回数は最小限に抑えているか、端末への入力回数や入力項目は最小限に抑えているか、出荷指示の変更・追加への対応をスムーズにできるか、なども重要な検討項目です。
物流現場は、システムと人、スペースの親和性や関連性を十分に考慮する必要があります。

ここまでのフェーズでよくある失敗事例として、物流機器の導入がいつしか目的になっているケースです。本来の目的は、現在よりも、よりよい現場作りであって、消して物流機器の導入ではないはずです。物流機器メーカーやハードメーカーが、自社商品の提案に陥りがちになる傾向がありますので、注意が必要です。
第三者的な立場で意見が言える、経験豊富なコンサルタントにアドバイザーや進行役として、自社プロジェクトチームに参画してもらうのも、1つの方法です。経験上、そのほうが、無駄な開発部分が発生したり、要件定義の時間が発生したりする『余分なコスト』を減らすことが出来るので、システム導入プロジェクト全体として、安上がりに出来ます。

そして最後に(3)システム開発のフェーズでは、前述のようにシステム設計ができず、改めて、利用部門に要件定義や仕様設計を確認し直すことになり、開発スケジュールに遅延が生じることがあります。いつしか、「より良いシステムを構築すること」から「納期を死守すること」へ目的が変わり、開発者も“現場の視点”を見失う状況になります。
機能レベルを落とした上に、操作性まで落としては、現場の負担は増えるばかりとなり、物流システムの導入が失敗することになります。

以上のように、自社の現状を調査・分析して、システム化によって実現すべき機能を具体的に設定していくために、物流システム導入の背景や目的、物流システム導入による効果やその目標値を設定し、自社の現状から将来の姿を描き、その方法をよく検討する必要があります。
投資内容や投資規模と投資効果の検証、プロジェクト体制の整備、無理・無駄・ムラのないスケジュール設定と今後の展開を考慮し、失敗のない物流システムを導入して頂きたいと思います。

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