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物流達人

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船井総研ロジ株式会社 代表取締役社長
菅 重宏

第3回目のコラム 2006.07.05

3PL(サードパーティ・ロジスティクス)の今後の業態進化 │ 菅 重宏

■物流の進化のステップ

3PLの業態進化をお伝えする前に、まずは物流の進化について下記の図をご覧いただきたい。

物流進化とそのステップ

この図は「物流の進化」のステップを4段階にまとめたものである。
製造業、流通業の読者であれば自社の物流のレベルをご確認いただき、物流(3PL)事業者であれば現在の取引先の状況をイメージしていただきたい。

この図では第1ステージを「部分最適」とし、次いで「物流部内最適」、そしてロジスティクスを「企業内経営最適」、最終到達系であるSCM(サプライチェーン・マネジメント)を「流通最適」と位置づけている。まずは自社及び取引先企業のステージはどこにあるのかを自己認識していただき、進化の過程は一つずつステージを上げていくことであると解説する際に使用している。

第1ステージは輸送、保管、作業といったいわゆる『単一サービス(モジュール)の最適化』が主たる活動であり、第2ステージになると「この拠点を閉鎖しよう」「製造と拠点と輸配送を全体的に見直そう」といった『物流全般にわたる最適化』がなされる。この第1、第2ステージの活動は第3ステージ以降も重要な活動内容であり、ここで終わりというものではなく積み木のように積み上がっていくものである。ここでのキーワードは「コストや生産性」である。

第3ステージになると、物流はロジスティクスに昇華され、社内の営業、製造、システムといった横断的なプロジェクト組織の活動が主体となる。いわゆる製販物や製配販といわれる『部門横断的な経営最適化』を図るステージである。最終ステージのSCMは、企業内の経営最適を終えた企業が、その前後(仕入先、販売先)の企業を巻き込んで『流通全体を最適化』する活動となる。ここでのキーワードは「在庫圧縮やROE」といった指標である。

■ロジスティクスに妙手・奇手はない

この図の「オチ」は『短期的な部分最適を追求してきた企業が、いきなりSCMなんて目指してもムリですよ!』である。第1ステージからいきなり第4ステージに一気に進化することは不可能なのである。なぜなら、現在SCMを実現している(と言われている)企業は、この概念が無い時分から改革・改善を継続してきた企業であり、それは何かを真似て実現したものではなく、自社及び前後企業との最適化を求める活動の結果としてSCMと呼ばれるようになったからである。

このように、まずは自らの位置づけを知ることは非常に重要なことである。多くの企業は他社の秀でた事例を目標とする「ベンチ・マーキング」という手法は、形を変えながらもなお活用されており「他社事例(特に失敗事例)を知りたい」というニーズは高い。しかし、他社の良いところを表面的、技術的に真似ようとしても定着するはずがなく、自らのステージを認識した上で、本質的なあるべき姿を描いて実行を継続する以外に手はないのである。

■物流の進化の旗振り役 ⇒ 3PL事業者

このように物流はロジスティクス、そしてSCMへ進化する過程をたどるのであるが、そこで一番の推進力(旗振り役)となるのが3PL事業者なのである。3PL事業者がサプライチェーン・パートナーと呼ばれる所以である。上記の4つのステージを再度見返してほしい。製造、流通業の物流進化のステップであると同時に、3PLが提案するステップと読み替えるとご理解いただけないだろうか。

第1ステージの単品サービスの改善提案が中心の物流事業者は3PL事業者というよりもモジュールの提案者である。少なくとも3PLであるためには、第2ステージの物流全体の総合的な提案ができなければならないし、できれば顧客のロジスティクスに対する提案ができてはじめて本来の意味での3PL(サードパーティ・ロジスティクス)と呼べるのではないだろうか。

3PLは顧客の営業、製造、物流、システムなどの総合的な提案を目指すべきであり、それが3PL業態を更に進化させ、顧客とパートナーシップを構築できる活動につながると感じている。製造業・流通業が第1ステージから第4ステージにいきなり移行できないのと同じように、3PL事業者も一気にジャンプアップすることができないのである。

ただし、物流事業者が3PL化したとしても、現場では常にモジュール単位の改善が行われる。そういう意味ではどのステージの提案をしても、結果としての現場活動は変わらないが、やはりそこに至るまでの提案の方法や内容で今後の付き合い方が変わるというのは現実である。

私自身、米国3PL業態の進化を時系列に目の当たりにして、その高度化に向けた自助努力は理解しているつもりである。米国3PL事業者も最初から取引先の経営層にSCMを説いていたわけではない。物流センター長から始まり、物流部門長、役員、経営者と徐々にその提案先の地位を上げていったのである。これは一足飛びに実現したのではなく、その本質を見極めてほしいと願うばかりである。

 物流(3PL)事業者の今後の提供サービスの方向性としては、より専門化、より広範化という2つのオプションがある。いずれかが正ではなく、自社の道筋を決めてより早くそこに到達すべく活動することが得策であることは言うまでもない。他者の真似はあくまで真似であり、本物以上にはなることはない。当初は真似でも、いずれ物流(3PL)事業者としてオリジナルのあるべき姿を追求せざるを得なくなるはずである。

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