
株式会社日本ロジファクトリー
代表取締役社長 青木 正一
第4回目のコラム 2006.10.16
現場力こそ商品 | 青木 正一
今、物流業界の現場は人手不足の中、その運営において大きな労働力構造の変化が起きている。
一昔前までは物流現場はコストセンターという位置づけが当然のようになっていた。そしてデフレ時代に入り、各企業はコスト削減に邁進した。裏方的存在であった「物流」もそのコストダウンの範疇になった。また同時に「物流」の重要性も問われ始めたのであった。かつて物流現場では正社員が他部署の正社員と変わらない賃金水準で業務を推進していた。そしてこの10年ほどのなかで、物流現場はコストセンターからプロフィットセンターへとその位置づけが大きく変わり、「パートの、パートによる、パートのための現場オペレーション」を各企業が押し進めた。
またそれと並行してに物流会社へのアウトソーシングも広がりを見せ、受託する物流会社は年々コストダウンを行う荷主の要求に必死に対応した。そして採算を合わすことが至上命題となった現場ではパートを積極的に採用し、戦力化したのであった。
こうした背景の中、労働力不足のにある物流現場では新たな戦力層が誕生したのであった。それは“派遣スタッフ”の存在であった。6~7年前は一部の現場でしか受け入れられなかったが今やなくてはならない戦力となっている。私が訪れる現場では大半の物流現場が派遣スタッフに支えられている。
こうして現在の物流現場では「管理職」「社員」「パートアルバイト」「派遣スタッフ」の四層構造で現場が運営されている。
先日ある日用雑貨小売の物流センターを訪れた。やはり、そこでも現場運営の中心は派遣スタッフであった。このセンターでは管理職、社員、パートアルバイト、派遣スタッフの皆が名前を呼び合いコミニュケーションを取っていた。私はある管理責任者に派遣会社の活用における課題を聞いてみた。1番に挙がったのが「熟練性」そして「波動調整時の経験者の流出」であった。
「熟練性」については過去に経験があることよりもむしろ、この物流センターでやっていけるのかの先ず体力、そして様々な知識を修得していける点であった。「波動調整時の経験者の流出」はようやく1人前に仕事を覚えたころに物量が少なくなり、そこで人員を調整しなければならなくなる。その際に仕事を覚えたスタッフが他の現場に移り、再び物量が増え、派遣スタッフが必要になったときにはもうその仕事を覚えたスタッフはいないという。後者はある程度仕方がないと諦めもつくが、前者は“教育”という視点ではいろいろなことを考えさせられる。
一つには現在では“教育”の負担がほぼ100%依頼主にかかっているがこれでよいのかということである。新規参入、競争激化のなか派遣業界もまた新たな局面を迎えようとしている。それはいかに付加価値のあるスタッフを現場に提供することができるかということである。「教育を受けたスタッフ」、具体的にはあいさつや、マナー、身だしなみは当然のことながら商品の扱い方、整理と整頓の方法、ロケーションの見方など、事前にこれらの基礎教育が成されていたならばどれほど依頼主は助かり、喜ぶであろう。そして何と言ってもその派遣会社の強みとなり、差別化となる。
もうひとつ「生産性の追求」がある。それは時給で契約しているスタッフは“急ぐ”必要がない、むしろできるだけ少ない仕事量を時間通りに終わらせるという力が働いてしまう。ピッキング作業や梱包作業を見ればそれが顕著に現れている。物流現場では一人当たり、もしくは時間当たりの生産性と残業時間をなくす為の運営がプロフィット化には不可欠である。この点では依頼する現場側と働く側に矛盾が発生していると言えるだろう。そういう意味でもの最近、派遣会社が対応している出来高制などの(請負)契約などによって現場運営にに即した「付加価値あるスタッフ」の追求はこの数年で答えが出るであろう。生き残る派遣会社、そうでない会社というように。
最後にこのセンターの管理責任者からは「コストアップになる」という課題が挙がらなかったことを付け加えておきたい。
