
(有)KRS物流システム研究所
高野 潔
第6回目のコラム 2007.09.07
「物流センタ−の実務的な業務効率化」 | 高野 潔
商品、輸入品等の入荷、保管、仕分け、ピッキング、流通加工、出荷その他、輸配送に不可欠な運行管理等の活動を行っている物流センターの実務的な「業務効率化」について、その論点を探ってみることにする。
◆「子(従業員)は、親(上司・センター長)を写す鏡」は会社の組織にも当てはまる!
社長と幹部のやる気で23年間に国内外の27社を買収、立て直した小型精密モーターの社長曰く、「人の能力差は2〜3倍、やる気の有る無しは100倍にもなるという。特に物流センターの核となるセンター長がやる気を出せば、その姿が従業員(社員・パート)の心を動かすと断言する。「子は親を写す鏡」とは、会社の組織ならぬ物流センターにも当てはまるそうだ。
◆物流センタ−の効率化は有能な指導者と「やる気と力量」のあるセンタ−長次第!
関西の10万点以上を取り扱うネジ卸売業がある。ここの物流センターでは経済事情、シーズン、曜日、時間帯毎に刻々変化する物流作業を、センター長中心に若い現場スタッフと共に現場マネジメント能力 —特にコスト低減、サービス性・品質— を年々高め、成長している。
このように、昨今、物流企業の成長を牽引する有能なセンター長の育成、自社に適応する物流マネジメント能力を持ち合せたセンター長の確保こそが「業務効率化」の早道であり、物流企業の成長のキーポイントとなってきている。つまりセンター長のポジションが高く評価されると共に資質の有るセンター長が求められる時代になってきた。
◆物流センター構築の目的。
物流には、輸配送、保管、荷役、包装・加工、及びこれらの作業と作業情報、マテハンの諸機能がある。これらの機能を有機的にジョイントすることによって、物流時間の短縮と納期の厳守、空間の有効利用、物量とセンター規模の適正化、在庫調達の容易化などを実現させることができる。この結果、顧客への納期と品質が維持・向上し、さらには作業コストの低減を柱に、「業務の効率化」を追求することが物流センター構築の目的であると考える。
その目的を実現する要素として、物流センターのレイアウトは極めて重要である。
レイアウトの良し悪しで、作業のし易さ、保管のし易さ、作業動線の長さに、また物流の総合機能に影響を及ぼし、結果、物流センター全体の「業務の効率化」に重大な影響を与える。
◆物流センターの全体業務の見直しで最大の業務効率化を考える。
物流センターにおける日常の「業務効率化」は、センター長をはじめ日々の改善活動で対応出来る。しかしより多くの「業務効率化」を実現するには、既存のセンターの下表のような諸元を全面的に見直し、優先順位をつけて取り組んでいくことが基本である。
| センター諸元要素の見直し | |
|---|---|
| 在庫アイテム数、在庫量、入出荷量などの取扱物量、スペース(倉庫面積、センター配置)などの再定義 | 企画立案、再設計 |
| 基本レイアウトとマテハン、商品保管と作業動線、作業と作業データの同期(リアルタイム化)、無理・無駄・ムラの解消などの再設計 | 現場改善 |
| 顧客指向と信頼性向上、取引の永続性(ローコスト・精度・スピード)の確保、情報システム(基幹系 ・WMS)のサポートなどの業務再設計 | サービス性・品質性 |
| リアルタイムによるデータ収集、進捗、見える化を具現化する情報システムの構築、誰でも(非熟練者)出来る庫内作業・・・などの再設計 | 作業と情報の結合 |
| 省人化(省力化)・効率化・正確性・能力アップ・・・などの再検討 | 省力化機器の導入 |
◆情報システムを上手に使っているか、いないかで業務効率化に大きく影響する。
受発注・入荷〜出荷(発送)までの物流現場の実績、進捗などのデータを収集、リアルタイムにセンター全体を可視化し、これらのデータから作業能力(人時生産性)や作業工数を想定する。そしてデータの活用により先を判断するフレキシブルなセンター運営は「業務効率化」(特にコストの低減)の重要なキィポイントと考える。
更にバーコードなどの情報媒体を駆使することで、作業の精度・品質を高めることができる。
◆物流センタ−の効率的な保管の仕組み
物流センターの効率的な在庫・保管の追求も「業務効率化」のスタートである。
保管の仕組みが多岐・多彩に渡り「業務効率化」に影響していることを先ず知ることである。
- 1)効率的な保管を行うためには、最適な棚割り付け(ロケーション管理)が必要である。
- 入出庫作業を意識し、どの棚にどの商品をどれだけ保管するかを決めて管理する。
- 2)商品を棚から溢れさせたり、あちこち狭い所に無作為に置けないようにする。
- 3)必要最小限の動線で作業が行えるようにする。
出庫や入庫作業を行う際、倉庫内のいたるところを探したり、保管場所の確保で右往左往の動きをなくすようにする。
| 保管の仕組みと制約条件 | |
|---|---|
| 保管可能アイテム数 |
|
| ロケーション管理 | 1)アイテム数とロケ−ション数、棚間口数の一致 (原則) |
| 保管能力(物量) |
|
| 保管と棚割 |
|
| 保管エリアの区分け |
|
◆段取り(作業準備)の徹底と「ゼロスタート、ゼロストップ」の遵守で驚くべき無駄を排除
各作業プロセスでの「作業待ち」を減らす、これは「ゼロスタート、ゼロストップ」を実践することである。
どこでも見かける光景として、(1)ピッキングリストの発行待ち、(2)入荷トラックの到着待ち、(3)当日出荷品(クロスドッキング)の入荷待ち、(4)前工程の作業遅れによる後工程の作業待ち、(5)人員配置のアンバランスによる作業待ち、(6)在庫違いによる調査・問い合わせ待ち、etcの価値を生まない作業ロスがあり、これらを排除することである。
例えば、朝(始業)の作業がピッキングの準備などで即スタートできない、仕事の区切りがついたことで休憩の5〜10分前に作業を止めて午前休憩を開始する、休憩終了後もトイレに行ったり、ダラダラとおしゃべりしながら持ち場まで歩く、また昼休み、午後の休憩、終業時間等々も同じような光景がある。この場合、単純に1回当りのロスを5分として30人の職場の年間ロスは6,000時間(30人×(5分×8回/日÷60分)×25日×12ヶ月で換算)になる、無駄の要因があちこちに山積しているのが現実である。
◆最後に、
物流センターには、「業務効率化」のネタが無数に潜んでいる。一握りの幹部、又はセンター長に依存した方が物流センターの業務の効率化が迅速に進むと思うが、共に物流センターで働く一人一人が形だけでなく、実作業に根ざした着眼点に磨きをかけ、「P・D・C・A」の管理サイクル(このステップを繰り返す)を実践することにより、今日よりも明日、明日よりも次の進歩を求めて日々努力を惜しまない現場に密着したより多くの物流人材が増えることを期待したい。
