
株式会社アルノ 代表取締役社長
岡田 英男
第8回目のコラム 2008.01.07
物流アウトソーシングの留意点と成功へのポイントを考える | 岡田 英男
ますます減少する労働力人口、コンプライアンスの強化、さらに追い討ちをかけるように原油高と、何かにつけて企業の効率的、合理的な運営の舵取りに悩む2008年が明けた。
こうした環境条件を踏まえると、新年は企業の「コスト最適化」「流通・物流の見直し」「コンプライアンスに培われた品質の高いサービスの提供」への追求はますます熱を帯びそうだ。その追求のうち、ロジスティクス上重要で、最も検討されるのが「物流アウトソーシング」という手法だ。
そこで本稿は、この「物流アウトソーシング」について、留意しなければならない点、また再点検や成功へのポイントなど主要なところをまとめてみた。
「物流アウトソーシング」をされている企業の担当者に、アウトソーシングを再認識してもらったり、今後の自社のアウトソーシングやそのあり方を検討する際、参考にしてほしい。
1. アウトソーシングとは何か・・・認識の確認を
アウトソーシングとは、下請け・請負ではなく、企業のビジネスや資源配分を見直すために導入される経営手法ということ。よって物流部門だけではなく、経営組織全体がアウトソーサーと向き合い、対等なパートナーシップのもとで事業連携を進める必要があるということだ。
またアウトソーシングは、業務の遂行責任がアウトソーサー側にあるため、発注側は結果だけを管理してしまうことが多い。よって、基本方針や当初の業務設計が極めて重要であり、しっかり現場管理の仕組を理解、納得してもらった上で導入してはじめて管理負荷が軽減されるということを認識してほしい。
2. アウトソーシング担当者が持つべきマインドとは
アウトソーシングは、業務を丸投げしたらそれて終わるわけではない。物流担当者は得てしてアウトソーサーに依存しようとしたり、逆に主導権を奪われることにより、業務遂行に支障をきたすリスクがあることを十分認識すべきである。
したがって、「アウトソーシングは、優秀なアウトソーサーとの提携による外部能力の取り込み」ということを忘れずに、優秀なアウトソーサーを選択して、そこから自分達にスキル・ノウハウをどんどん取り込み、物流担当者として業務管理力、折衝スキルを磨いていくマインドが肝要である。
3. アウトソーシング先の業者選定の留意点
アウトソーシング業者の選考にあたり、業者が実際に運営している物流センターの視察を行うことは大事である。提案書上では素晴らしい企画提案書を提出していても、その現場マネジメント力は判断できない。
物流センターでは、現場責任者の人柄や、現場作業者からの挨拶、身だしなみ、作業場の整理整頓、作業方法やスピード、安全対策など、彼らのマネジメント力が如実に現われる。フルアウトソーシングの場合、作業品質という観点と、業者側がアセットに対して投資を行う場合、荷主側でその償却期間を考慮することもあるため、業者を選定したら簡単に切り替えすることはできない。それを十分認識して、慎重な選定を行うべきである。
4. アウトソーシング後の業者の評価に手抜かりはないか
アウトソーシングした以上、安定的な作業品質、継続的な効率化を提供してもらわないといけない。そのためには、中長期的にパートナーシップを構築できる事を前提とした優秀なアウトソーサーでなければならないことはいうまでもないが、必要に応じて育成を続けていかなければならない。その際、きちんと評価するために、評価基準を設定する必要がある。
一般的に求められる能力としては
1)コスト競争力
2)提案力・コンサルティング能力
3)情報収集及びシステム開発力
4)業務遂行力、物流波動への対応力
5)物流品質およびサービス力
6)危機管理対応力
7)トップおよび管理者の管理能力
8)財務基盤
9)環境保全対応力
などが上げられる。
この項目の内、自社としてどの能力を必要とするのかを定義して、評価シートを作成し、必要に応じてチェックすることである。
ある企業では【現場実行力】【継続的な改善力】【企業の安定性】
の3点から業者評価項目を設定し、会社方針(価格競争力重視 等)に従い、評価点に重み付けを設定している。またこの格付表が、物流部門からの評価だけでなく、会社方針に基づいた全社経営の視点からの評価として位置づけており、注視したい点である。
5. 要約 <アウトソーシング成功へのステップとポイントとは>
アウトソーシングを一から検討する場合、重要なポイントは、その推進体制を確立し推進ステップを明確にすること、また社内で十分な議論を図り、合意を重ねることである。
検討フェーズでは、最低2回は社内合意を取る場を設定すべきと考える。
1回目は、アウトソーシングの概要検討(委託の要件定義)を確立した後、「会社としてどの業務領域を委託するべきか」について、基本合意をとる。
2回目は業者選定にあたって自社にとって最適な業者はどういう業者でなければならないかコンセンサスをとる。
3回目は、物流部門・実務者でのアウトソーサー選定後、その選定結果と料金・契約体系について再度、社内合意を取るべきである。
また、過去の経験事例から荷主企業に起因する失敗要因を考慮すると、アウトソーシングを成功に導くポイントは、下記の3つであると考える。
■荷主側で明確な委託の要件定義をすること、また適宜見直すこと
■アウトソーサーの現場運営力を評価し育成に繋げること、また適宜その評価項目を見直すこと
■適正な物流料金を設定すること、また適宜その内容の見直しをすること
現状で妥当かどうか、担当者は次のチェックポイントをたえず評価し、経営組織全体の観点から検討し直す態度が必要と考える。
